相続が来ると予想していても、来るときは突然です。つまり、母の葬儀を終えたら、私は相続人になっていました。この記事は、私が相続した土地をそのまま放置しているだけで費用が必要だと知ってからの体験記です。そのとき「どうにかしなければ!」と言う気持ちで、いろいろな方法で詳しい人に話を聞き、考えました。結局、その土地にアパートを建設することになった私。なぜ、その結論にいたったのか、他にどんな選択肢があるのかをまとめました。

地方都市の相続は、大手メーカーのホームページも、参考にならなくて私は迷子になりました。都会に住んでいても、地方都市の土地を相続する予定がある方もいると思います。地方都市で、土地を相続する場合の参考にしていただければ、嬉しいです。もし自分の場合どうするか、シミュレーションをするだけでも、ずいぶん違うと思いますよ。
私の相続したのはこんな土地でした
私の相続したのは、以下のような土地です。そして、この上に築40年の店舗兼住宅と倉庫が建っていました。地方都市にしては利便性が良い方だとは思いますが、地方都市だけに、選べる用途に限りがありました。
地方都市の郊外の立地
あまり大きくない地方都市の国道沿いの土地です。通勤圏内に工業団地が3つあり、製造業で働く単身赴任の方やファミリー層が住んでいます。しかし、住宅地ではなく、周囲は店舗や田園が広がっています。
親戚の近くにある土地を相続しました
実家の土地の横は、親戚の耕作している田園でした。大きさは、450坪ほどです。でも、三角形に近い台形をしています。道路と実家の土地だけ、周囲にある田園より高くなっており区別はできるのですが、正式な測量はされていません。そのせいか、手元にある40年前の計測より少し小さくなっていました。
もうひとつ大切なことですが、実家は自宅からクルマで15分かかります。つまり、往復30分。近いようで遠い場所です。
住むのには不自由はなさそうな土地です
土地の向かいには、市内でも有数の大きなコンビニエンスストアがあります。そして、斜め向かいには、ファミリーレストラン。
生活に必要なスーパーマーケットやホームセンターは、車ですぐ。歩いてでも行ける距離です。そのうえ地区一番の大型商業施設もクルマで5分くらいの場所にあり、住むのに不自由はなさそうです。
小学校も徒歩10分の位置にあります。

地方都市にしては交通の便がよい土地
市内中心部から、クルマで20分くらい離れています。近くに駅もありますが、廃線の噂が流れている赤字路線です。
クルマ以外で、市内中心部に行くならバスを利用しますが、バス停は実家の土地のなかに立っていました。
高速道路のインターチェンジが近く、高速バスを使えば京阪神方面に行けます。
相続した土地を売るなら3年以内?焦ったわけ?
土地を相続してすぐは、私自身が入退院を繰り返していたこともあって、土地と建物は、5年程は放置しておこうと思っていました。しかし、調べるうちに、どうにかして活用しなければと思うようになりました。その理由は4つです。
理由1:健康問題
当時、私は病名がつかない病気で入院を何度かしていました。最初、疑われていた病気が化膿性脊椎炎という致死率が6%程度と比較的高い病気です。死亡は免れても、重篤な後遺症が残るかもしれないと言われていました。土地のことを考えていた時は、両手が上まで上がりませんでした。
ですから、私が母から相続した土地のことを、わかりやすい状態にしておきたいと思っていました。後々あまり自分が長く活躍できる計画で物事をきめたくなかったのです。
理由2:土地建物の維持に毎年数十万円が必要
土地はもっているだけで、固定資産税がかかります。また、国道沿いで親戚も近いので、庭の草や木が伸び放題のままでいるわけにはいかず、庭師などの費用も必要でした。また、火災保険も辞めるわけにはいかず、年間数十万が必要になるのです。これは、しばらく主婦をする予定にしていた私には大きな額でした。もっと詳しくは空き家を放置するリスク書きましたので、興味があればそちらも読んでみてくださいね。
理由3:もし売却を考えるなら3年以内がお得
私のように土地や建物など不動産を取得した場合、もし売るのであれば、早い方が得になります。それは①取得費加算の特例と②空き家の3,000万円特別控除があるからです。どちらも相続から3年以内の売却について適用される制度ですが、土地は、売りに出してもすぐに買い手がつく訳ではありません。実家の近所にも「売土地」の看板がでたまま、数年経過している土地もありました。もっと、詳しくは土地を相続したら、のんびりできない理由で書きましたので、条件など詳しくはそちらでご確認ください。
①取得費加算の特例
相続した土地を売った場合、相続後3年以内であれば「取得費加算」として、所得税を減らしてもらえます。これは、土地、建物、株式などの財産を譲渡した場合に、相続税を含めて費用として計算できる特例です。
参考:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁 (nta.go.jp)
②空き家の3,000万円特別控除
一定の条件を満たしていれば空き家の3000万円特別控除が適用されます。
国税庁のホームページにはチェックシートが用意されています。
理由4:とにかく物騒
私の家は、実家からクルマで15分ほど離れています。そんなとき、実家の一部にある店舗のものが無くなりました。荒らされた形跡はなく、高価な商品の棚がひとつ、丸ごとなくなっています。
実家は国道沿いだということもあって、長い間留守にしていたことが周囲にも知られていました。葬式をしたということで、本式に住民がいないのをいいことに、入った人がいたと私は思っています。
けれど、確実な証拠がなく、そのことはうやむやになりましたが、それからも、私の実家に不審者が入るかもしれない。もしかしたら、不審者が集会を開いたり、秘密基地みたいに使われてしまったりするかもしれないという、心配は残りました。もっと詳しくは空き家を放置するリスク書きました。

土地の使いみちについて相談してみた
土地をどうにかしなければ!その気持ちでいろいろな人に相談してみました。
地元不動産業者に土地をみてもらう
まず、友人の知り合いである地元の不動産業者に話を聞きました。
土地と建物を一通り見た、不動産業者の見解はこうです。
土地をみた不動産業者の意見
建物は、ずいぶん傷んで、床が抜けそうになっている場所もある。修復するのであれば、かなり費用がかかる。
飲食店に使えそうな構造ではある。でも、もし貸すなら費用をかけて修復するか、安く貸して好きなように改装工事をしてもらう方法をおすすめする。借り手がいるかどうかはわからない。コロナ以降、新規開店は少なくなっている。
アパート経営も、このあたりでは家賃が高くとれないので10年以降は赤字になるかもしれない。
もし売るとしても、相場通りで売れない場合は、値下げが必要。
どの土地活用をしても、結局、苦労が多くて実入りの少ない結果になる。早いうちに売った方がいい。
不動産業者との話で「売らないといけないのか…」という気持ちにさせられました。
夫と話を聞いたのですが、帰りの車の中では、二人ともため息。
母が住みたいとこだわった土地を、簡単に売ってしまうのには、さすがに違和感を感じたのです。
土地活用の一括プラン請求サイト HOME4Uを使ってみた
他の使いみちがないかと、インターネットで検索したら、不動産の使いみちを比較検索できるサイトをみつけました、NTTグループということだったので、信頼できると判断しました。検索したサイトはこちらです。
長期安定収入を目指した土地活用をご提案|HOME4U土地活用の一括プラン請求サイト
その当時、HOME4Uでは以下の土地活用を紹介していました。
- 店舗経営
- 太陽光発電
- コインランドリー経営
- 駐車場経営
- 賃貸戸建経営
- 賃貸アパート経営
- 賃貸マンション経営
- 高齢者住宅
でも、実家の土地の条件を入力したら、出てきたのは、高齢者住宅とトランクルーム、賃貸アパート経営の業者のみでした。その3つの業者に資料請求したところ、トランクルームは対応地域外、高齢者住宅は地元に営業所がなく、建設費用も高かったので、現実味を帯びずにおわりました。
そして、賃貸アパート経営の業者に不動産業者とのいきさつを伝えると、
「いまは、アパート経営については全国規模の業者が多くを占めている。その土地であれば、十分利益がでると思う。」との回答。可能性を探ろうと、話を聞くことにしたのです。
友人の知人にも聞いてみた
アパートメーカーに会ってみると、実家周辺のアパート価格情報から、30年ローンを組んだ場合の収支の計算まで、事細かに調べられていました。
大きな金額ではないけれど、とりあえず黒字でまわりそうです。
でも、アパート建設は大きな決断です。実家の家具を譲り渡した友人の知人に、その話をすると「もったいない」といわれました。直接取引すれば、もっと利益がでる。その人はそう言いました。
相続した土地にはアパートを建てることに
このころ、とても悩みました。土地の問題は、お金や商売が複雑に絡んだ面倒なことだと思いました。
大切にしたいこと
自分の中の大切なものはなにか?私には、なにができるのか、そこに立ち戻って考えました。
- 土地にかかるお金は土地が生むようにしたい
- いま生活ができているのだから、多くのお金を得ようと欲張らない
- 体調がよくないので、直接取引はやらない
- 母の土地は持っていたい
- 生前母には傷つくことをたくさん言われて、建物に入るのは正直苦手。だから、母子関係のトラウマが少ない形を選びたい
アパート建設へ
結局、私はアパート建設を選びました。いろいろ言う人もいますし、正解かどうかわかりません。
でも、その時のベストの決断ができたと思っています。