
緊急事態宣言で会えない母|特養での日々 の記事の続きです。
コロナで特養に入った母と会えない日々を過ごしていました。
連絡が間遠になったので、私はのんきに、”母は施設での暮らしが落ち着いてきたんだろう。よかったよかった”と思って過ごしていました。
ある日曜日の午前中に施設から電話がありました。
「お母さまが危ない状態です。急いで、おいでください。」
母の緊急事態!でも‼
叔母にも声をかけ、特養に家族5人で向かいました。
駐車場に車を停めて、熱を測定
検温すると長女は37℃以上熱があるということで、母には会えず駐車場で待つことに。

お母さまの血中酸素濃度が低いので、部屋には3人までしか入れません。
母の容態
その時の母の血中酸素濃度は55%程度。部屋には交代で入りました。
誤嚥性肺炎です。
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)
物を飲み込む働きを嚥下機能、口から食道へ入るべきものが気管に入ってしまうことを誤嚥と言います。誤嚥性肺炎は、嚥下機能障害のため唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸引することにより発症します。
A-12 誤嚥性肺炎 – A. 感染性呼吸器疾患|一般社団法人日本呼吸器学会 (jrs.or.jp)
母はその朝には普通に過ごしていたということでした。

食後、しばらくして「飴が舐めたい」といわれました。
飴は職員のいるところで舐めるルールなので、舐め終わるまでは共有スペースでした。
部屋に戻り、しばらくして部屋を覗くと、あっぷあっぷと苦しんでいらっしゃいました。
思い当たる原因
誤嚥性肺炎。
そう言われて思い当たりました。
母は私に、得意そうにこんなことを言っていたのです。

飴を途中まで舐めたら口から出して隠し、また部屋で舐めているんよ。
私がダメと言っても、相手にされませんでした。
その日、母はいつもと同じようにしたのでしょう。そして、うまく舐められなかったのでしょう。
飴と母
それまでの病院は飴が禁止でした。それは窒息防止のため。
母は決まりをまもらず、隠れて舐めようとしていました。病院や施設の方に何度も注意され困っていたのです。
なので、特養では施設の方と一緒に舐めるようお願いしていました。
こうなってしまったことを誰も責められません。私は、特養の方が、母の飴の件をやりたいようにしてくれて、ありがたいとすら思います。

最期のときをどう迎えるか?
母は苦しんでいたのですが、小康状態を保っているとのことでした。でも”そのとき”は近いだろうと言われました。
長くは特養にいられないので、いったん帰ることになりました。
そこで、質問をされました。

もし、医療が必要になった場合、病院に移送しますか?
それとも、ここで終わりまで過ごされますか?
ひとりっこの私が決めなければなりませんでした。
医師に「覚悟が必要」と言われている母。それでも迷う気持ちはありました。

病院にはつれていきません。こちらでよろしくお願いします。
私にとって、重い決定でした。でも、いまでも間違っていないと思います。
母を送る夜
その夜、施設から連絡がありました。
私たちはギリギリ間に合いました。叔母は間に合いませんでした。
静かな夜でした。
