SAKURAE
この記事は特養からの電話|母の容態と決断 で書かなかったこと。
私の気持ちの話です。
母を送るとき、母の死に際して、私は泣きませんでした。
自分の気持ちですが、よくわかりません。けれど、悲しくなかったわけではない、そう思います。
でも、歩み寄れなかった母との間には、いろいろな思いがありました。その複雑さを前にして、しんとした気持ちが私を包みました。
母を送るとき思い出したこと
最期のとき、母が大好きだった頃のことを思い出しました。
そのとき、私は母の手を握りました。
母の手の触感が、小さなころ私が握っていた手のままなことに気がついたのです。
母のことが大好きだった頃の自分
私が幼いころ、私たち親子は、週末にバスに乗って、よく岡山まで2人で出かけていました。そのとき、私の手を握っていた母の手は柔らかく、少し冷たかった。
その頃の私は母のことを世界一きれいだと思って、素敵だと思っていた。
そうだった。
それを思い出した時、母は強い目をして、私をみていました。
そのとき、母は何を考えていたのでしょうか。でも、永遠に私にはわかりません。
できないことが多いままで母を送りました
そして、母を送るときがきて、母は逝ってしまいました。
いまも、私たち母子は、なにをどうすればよかったのか、何を言えば理解しあえたのか、わからないままです。