実は打ち合わせていたこと
この話し合いの前に、ケアマネージャーさんから根回しというか、方向性の確認がありました。
内容は、
- 老健卒業後は、小規模多機能型居宅介護事業所へ入所し、宿泊サービスを利用して過ごす
- 3ヶ月は、小規模多機能型居宅介護事業所過ごし、老健の待期期間後は、また老健にお世話になる
というものでした。
提案された介護施設とは
小規模多機能型居宅介護は、利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組合せ、家庭的な環境と地域住民との交流の下で日常生活上の支援や機能訓練を行います
小規模多機能型居宅介護 | 公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 厚生労働省HPより抜粋
厚生労働省HPでは、小規模多機能型居宅介護「通い」を中心とするということになっていますが、母の場合「宿泊サービス」を利用する流れになりそうでした。
お母さまの場合は、介護者がおらず、自宅には戻れないということで
「宿泊サービス」を利用することをおすすめします。
公表されている介護サービスは26種類。そのうち宿泊サービスを伴うものは12種類あります。このうち、小規模多機能型居宅介護事業所は自宅の生活を基本とし、通所と宿泊サービスを兼ね備えた施設です。
ちなみに、この時の母の介護度は「要介護2」。特別養護老人ホームは要介護3から入所できる施設なので選択肢にはありません。
ケアマネさんの考え
お母さまは自宅にこだわりを持っていらっしゃるようですし、有料老人ホームなどの施設でずっと暮らすことを前提とするものでなく、自宅に戻れる可能性を残した施設のほうが、都合がいいのではないのですか?
老健で行なっているくもん学習療法 にも前向きに取り組まれているので、また老健に戻ってこれる小規模多機能型居宅介護事業所をおすすめします。
私も、環境を変えずにすむほうがストレスが少ないかなと合意しました。
私が気になっていたこと
根回しの話をして、了承したものの私の中には違和感がありました。
自宅に帰る希望もないのに、希望があるように見せるのはどうなんだろう?
私は、母に目先の嘘をつくのが嫌でした。
100%でなくても、母には自分の状況を納得しておいてほしい。
母の性格からして、あたりまえの、決められたルートは歩きたくないんだろう。
私も嫌な気持ちのまま、だますようにして入所してもらうのはモヤモヤする。
私たちは、理屈っぽい親子です。だから、それぞれの理屈が相容れずにぶつかることも多いのです。折り合いは悪いけれど、母の気持ちはわかるような気がしました。
納得いかないことで進むのは、よくない結果を生みそうで不安でした。
母が納得できる方法はないのかなぁ。
でも、自分の納得を捨てられない。
話し合いまで、私はずっと悩んでいました。
そして話し合いの場に
話し合いの場には、施設の方と小規模多機能型居宅介護事業所のケアマネージャさん、リハビリの方、日常的に世話をしてくださっている方、そして母と私と叔母が出席しました。
母は一貫して
家に帰りたい。
こんなざわざわしたところ嫌!
家に帰って、好きなものを作って好きに食べたい。
と言い続けました。楽しそうだけど、嫌なのか……
ずっとこのまま、家に帰りたいと言い続ける母を、無理に施設に押し込めることは、私にとって苦痛。
思い切って、私はケアマネさんに聞きました。
母がひとりで住む選択はできますか?
家族が、まったくかかわらないのは難しいです……
あきらかにケアマネさんはとまどっていました。
あたりまえです。丁寧に根回しした話を、崩されたのですから。
納得できる今後の方向性の答えはなにか
私は、続けて聞きました。
最低限、これだけはしてほしいというのはありますか?
ゴミ捨てはできません。
あと週に1回は夕食を持っていけません。
それぐらいなら、どうにかなるんじゃない?
手伝えるところは手伝うから。
…………………うん。
他にも、家族が少しだけ関わって、ひとりで住んでらっしゃるかたもいますよ。
そのかわり、もうすこしリハビリを頑張ってくださいね。
がんばる。
決まった今後の方向性
決まった今後の方向性はこうです。(母は、この時要介護2でした)
- 母は老健でリハビリを頑張り、2か月後自宅に帰る。
- それまでに介護保険を使って、自宅の改修をする。
- 自宅に帰っても、週に3回はお風呂と洗濯のため、小規模多機能型居宅介護事業所へ通う。
- 小規模多機能型居宅介護事業所では、洗濯とお風呂のサービスを受ける。
- 洗濯については、母がする場合も想定。夕食を届けに来た人に干してもらう。
- 日曜以外は、夕食のサービスを受ける。日曜日は、どうにか回す。
- 夕食サービスの時に、ヘルパーさんに家のことをしてもらう。
- 買い物は小規模多機能型居宅介護事業所の帰りか、家族が買う。
- ゴミ捨ては家族がする。
- 通院も、基本的には家族がつきそう。
ケアマネジャーさんの戸惑いの原因
ケアマネジャーさんは、「今後の方向性に、娘さんは、まったくかかわらないつもりだ」と聞いていたから、戸惑ったと、あとで教えてくれました。
たしかに、私はそう言ったのです。
でも、第1片づけ期を過ごしているうちに、「母が家に帰りたいと強く思って過ごすのをやり過ごすくらいなら、一緒に住むという選択でなければ、少しならできる」そう思えるようになりました。
その心情の微妙なところまでは、ケアマネさんに、わかるはずもありません。
私の気持ちを守るためには、介護”○○はできそう。△△は無理”と、ひとつひとう自分に問い合わせる必要がありました。それは、自分にしかわからないのだから。
そのために、ケアマネさんとよく相談し、サービスを選択する必要がある。そのことを、あらためて知った出来事になりました。
その後、親子関係が暗礁に乗り上げそうになって、ケアマネさんを困らせたこともありました。でも、それはそれとして納得のいく選択だったと思えます。
第2片づけ期のはじまり
今後の方向性が決まりました。母の希望通り家に帰ることになりました。母が建てて暮らした家に。
そしてこれが、私の第2片づけ期の始まりになりました。